PROFILE

作編曲家。幼少より周囲の自然や鳥の声などを真似てピアノを弾き遊ぶ。クラシック音楽をルーツとしながらも、その世界にとどまらないジャンルの垣根を越えた音楽を探索し、ポップ、エレクトロ、民族音楽、Jazz、Rock、現代音楽等、様々な要素を彼女独自の音楽へと変容させる。2004年東京芸術大学音楽学部作曲科を首席で卒業、2005年現代音楽界の第一人者「アンサンブルNOMAD」による委嘱作品『トルコ民族音楽による6つの小品』を発表。2006年同大学院修了後、作編曲家として活動を開始。

スタジオジブリ短編『たからさがし』(2011年 宮崎駿監督)、連続ドラマ『恋愛時代』(2015年 日テレ・讀賣系列)、連続ドラマ『たべるダケ』(2013年 TV東京) 等の音楽、横浜開国博パビリオン『氷山ルリの大航海』(2009年) 音楽、また数々のCM音楽等を手掛ける。アレンジワークとしては山下智久から石川さゆり、声優の高垣彩陽まで幅広く起用されている。

数々の映像作品やアーティストを支える音楽家である一方、ソロ名義でも2枚のアルバムをリリース。2009年1stアルバム『WORLD’S END VILLAGE- 世界の果ての村-』2015年には2ndアルバム『空話集 アレゴリア・インフィニータ』を発表。2作に共通して、強いエネルギーを内包し構築された壮大な物語のような音世界が繰り広げられている。

近作としては映画『真白の恋』(2016年秋公開 坂本欣弘監督) 、ドラマ『検事・悪玉』(2016年 テレビ朝日系列)、等の音楽を担当。

INTERVIEW

未知瑠は音楽の野生児である。彼女にとっては、音楽はすべて平等であり、どれも同じ大きさ、同じ重さを持つ。つまりジャンルに得意、不得意がないのだ。とある音楽を要求されると、それがどんなカテゴリであれ、未知瑠自身の感覚が織り込まれて立ち現れる。それは目の前の樹木に果実が実るように自然に。あとは、それらをもぎ取り、ただほおばるだけなのだ。

テレビドラマ、アニメーション作品を問わず、打ち合わせをしているときに、音楽が自ずと「聞こえてくる」という。「映像や監督の意図、台本や絵コンテなどの様々な要素から、どんな音楽が聞こえてくるかな?と、耳を研ぎ澄ませて聞き取ったものを形にしていきます。監督たちの中にあるイメージを、私の手を通じて具現化していく感じですね」

三鷹の森ジブリ美術館の短編アニメーション映画『たからさがし』(2011年)では、宮崎駿監督と音楽を作り上げていった。デモ音源を聴いた宮崎監督は「アニメーションの動きと音楽だけで十分伝わるものになりそうだ」と話し、結果としてアフレコのセリフをほとんど抜き、キャラクターの動きと音楽だけで魅了する作品へと昇華させている。
彼女は幼少期から、自然の音や生活音がまるで音楽のように聞こえていたという。その「恵み」に育まれてきたはずの絶対音感の持ち主は、同時に音楽の殉教者でもあった。自ずと湧いて出る内なる音楽の潔癖なる発信者であった。ファーストアルバム『ワールズエンド・ヴィレッジ 世界の果ての村』(2009年発表)は、その象徴と言えるだろう。ライフルを手にして森に浮かぶ表紙ジャケットの女性像に、作曲者の姿を重ねることはたやすい。そこに展開される音世界は、巨大建造物のようにそびえ建ち、その独創的な美しさ、力強さはなかなか他に類を見ない。本人いわく「当時の私の集大成」そして「自分の音楽という聖域で、唯一無二の作品を作らなくては!と自らがんじがらめになっていた。」と振り返る。「当時は“音楽で世界を征服する”とまで言っていたんですよ。バカでしたね(笑)。」

そう微笑む彼女にとっての大きな転機は、東京芸術大学大学院在学中から約5年間、作曲家・佐橋俊彦のもとでアシスタント経験をしたことだ。初めて触れたテレビ、映画、アニメ音楽の創作現場。そこは彼女のそれまでの価値観を覆す、凄まじき商業音楽の戦場であった。制約の厳しい環境では当然、時間をかけての丁寧な音楽作りはかなわない。そのことが反動となり、ファーストアルバムが生まれたのは事実。「自分だけの世界をイチからつくり上げることに喜びを感じていたんです。そうやらざるを得ない自分があのとき確かにいました」

しかし、佐橋の現場で目の当たりにした様々な経験は、当時彼女の制作スタンスの中で完璧主義者として思い詰め、がんじがらめになっていた自身から解放されるきっかけとなった、と振り返る。「昔の私のまま年を取っていたら、何も人の役に立てない偏屈な作曲家になっていたと思います。すごくありがたい経験をさせていただきました」
セカンドアルバム『空話集 アレゴリア・インフィニータ』(2015年発表)はこれまた象徴的だ。その表紙に描かれているのは、ライフルの代わりに赤ん坊を抱きかかえる裸身の女性。2011年に一児の母になった作曲者そのままに、慈愛の原野で満たされている。映像音楽に対しての考え方も大きく変化した。「ファーストアルバムのときは自分の音楽が人生の主人公でした。でもセカンドアルバムを制作した私は、もう自分の音楽が主人公ではなくなっていたんです。今は、誰かのために自分の音楽を捧げることに幸せとやりがいを感じ、その気持はどんどん増しています。監督やスタッフの方々、そしてその先で映像を視てくださる多くのユーザーが、楽曲の世界を気に入ってくれたときは、本当に作ってよかったなと思います」
『世界の果ての村』を飛び出し、外へと歩き出した彼女の前には、世界がどこまでも広がっている。

文責 カクタクト

映画『真白の恋』(2016年)

監督:坂本欣弘  主演:佐藤みゆき
音楽担当

ショートムービー『美人の多い料理店』(2013年)

監督:李闘士男  主演:中井貴一
音楽担当

スタジオジブリ短編映画『たからさがし』(2011年)

監督:宮崎駿
音楽担当

アニメーションムービー『pray for japan/祈りをこめて』(2011年)

アニメーション:オオニシカオリ 
音楽担当

ドラマ『検事・悪玉』(テレビ朝日系列/2016年3月)

監督:本田隆一  主演:橋爪功
音楽担当

連続ドラマ『恋愛時代』(日本テレビ系列/2015年4月〜)

監督:藤村享平  主演:比嘉愛未 満島真之介
音楽担当

連続ドラマ『たべるダケ』(テレビ東京系列/2013年7月〜)

監督:藤村享平  主演:後藤まりこ
音楽担当

『米原ぽっぽフェス』スポットアニメーション(2015年)

歌:真依子
音楽担当

UNIVA CAPITAL社『Unite Leads to Grow』(2015年)

監督:Yuichi Suita
音楽担当

積水ハウス『家はLOVE SONG篇』(2012年)

歌:村上ゆき
編曲担当

コーセーコスメポート『サロンスタイルヘッドスパ』(2011年)

監督:関根光才
作編曲担当

せんねん灸 『せんねん灸の奇跡』(2011年)

歌:米良美一
作編曲担当 

アステラス製薬『120文字のアステラス』(2010年)

編曲担当

未知瑠 2nd アルバム『ALLEGORIA INFINITA』(2015年)

全9曲

未知瑠 1st アルバム『World's End Village』(2010年)

全7曲

NHK みんなのうた『ふきとひよこ』(2013年4-5月の新曲)

歌:真依子
編曲担当

NHK みんなのうた『もういいかい』(2011年8-9月の新曲)

歌:石川さゆり
編曲担当 

真依子 アルバム『かわらないもの』(2013年)

Track.1「かわらないもの」編曲担当
Track.2「ふきとひよこ」編曲担当 

石川さゆり アルバム『X-Cross-』(2012年)

Track.4「花は咲く」(NHK震災復興ソング)編曲担当

空気公団 アルバム『春愁秋思』(2011年)

Track.8「文字のないページ」ストリングス編曲担当

寺尾紗穂 アルバム『愛の秘密』(2009年)

Track.10「愛の秘密」編曲担当

キャラメルボックス『無伴奏ソナタ』(2013年)

Track.9「盗人-Nusubito-」音楽担当 

聖徳学園シリーズコンサート第1500回記念公演 『Audio&Visual Fantasy-氷山ルリの大航海』(2010年)

作編曲・演奏担当

ショートアニメーション『来て見てここはね』(2014年)

作詞・歌:真依子
作編曲担当

横浜開国博Y150 パビリオン『Audio&Visual Fantasy〜氷山ルリの大航海』(2009年)

音楽担当